長野県南部に位置する木曽は、木々が生い茂り、四季折々の情景を映し出します。江戸時代の面影を今に伝える宿場の街並み、木工品や伝統工芸品など見どころがたくさん。歴史を感じさせる自然のなかで、おもわず呼吸が深くなる旅へ出かけてみませんか。
関東から木曽へドライブ。
大自然に呼吸を癒す普段着の旅。
多くの旅人や資材、文化が往来した中山道。木曽はその中山道のほぼ中間にあります。島崎藤村が小説『夜明け前』で「木曽路はすべて山の中である」と書いたように、その四方を山々に囲まれています。木曽の宿場を歩けば、今でもその古き良き歴史を感じさせる風情に出会えます。そして豊かな木々に恵まれたこの地域では、木工業や伝統産業が栄え、今でも人々の暮らしと共にあります。
気心知れた仲間とのドライブ旅。美しく色づく山々や、都会とは違う空気、歴史や文化を感じながら思いっきり深呼吸!
都会から車を走らせること数時間。どんどん近くなる山々、赤や黄色に色づく木々が目前に広がります。特別な荷物は必要ありません。まるで近所を散歩するように、普段着のままでふらりと訪れ癒される。自分に向き合い、本当の自分にかえる贅沢な時間を、木曽の森で味わってみませんか。
ヨガや紅葉散歩のリトリート。
木曽路から森林浴発祥の地「赤沢自然休養林」へ。
日本三大美林のひとつに数えられ、樹齢300年以上の木曽ヒノキが林立する「赤沢自然休養林(通称:赤沢美林)」。その歴史は長く、江戸時代には尾張藩の保護林として、明治時代には伊勢神宮などの造営木材を提供する皇室所有の森林として整備され、戦後には国有林に指定されました。そんな歴史を背景に1970年に国内初の自然休養林として開園。1982年には林野庁が提唱した森林浴イベントを初開催。以来、森林浴発祥の地として親しまれてきました。
森林浴の効果は、木から発する「フィトンチッド」という物質によるもの。血圧の低下や、血行促進、免疫力アップや疲労回復など、リラックス効果があるとされています。思いっきり深呼吸して、ゆったり歩いたり、ヨガをしたり、読書をしたり…。体も心も自然に委ねるひとときが、ここにはあります。
歩きやすく整備された「ふれあいの道」。森林鉄道も近くで見られます
人々の生活を支えた森林鉄道で、
赤沢の森のなかをめぐっていく。
赤沢美林は、江戸時代に尾張藩によって厳格に保護されてきたため、樹齢300年をこえる天然ヒノキの森が広がります。この良質な木曽ヒノキは、三重県の伊勢神宮の式年遷宮の際に御神木として提供されており、「神宮備林」として現在も守られ続けています。そんな神聖な森のなかを走る「赤沢森林鉄道」は、かつて木材の運搬に使われていた日本最後の森林鉄道の一部。現在は観光客を乗せて、赤沢の自然の魅力を伝える役割を担っています。
往復2.2キロの道を、約25分で走るトロッコ電車「森林鉄道」
この地でしか味わえない、
思い出に残る宿で旅の疲れを癒やす。
この日の宿は民宿「さわぐち」。テニスコートを11面有する広大な敷地のなかに建つこの宿は、サークルの合宿などで利用するお客さんも。築130年の古民家でのひとときは、歴史の面影とありのままの森に身を委ね、手つかずの自然を旅して語り合いたいグループにおすすめの旅プランです。
魅力のひとつは、客間の中央にある大きな囲炉裏。パチパチと燃える火を囲みながら、今日の思い出を語り合えば、心の距離がぐっと近くなるのを感じられるはず。
忙しい毎日から離れ、大自然に包まれると、本来の自分を取り戻せる気がします。刻一刻と変わる木々の色、頬に触れる冷たい風、都会とは違う空気の味、非日常の宿体験。仲間たちと一緒に感じた感覚は、忘れられない思い出となるはず。
歴史を今に残す木曽の宿場や休養林をめぐれば、時を重ね自然を守り続けてきた人々の思いを感じることでしょう。そんな木曽の歴史と人の営みを知ると、忙しい日々のひとときを、もっと大切にできるようになるはず。本物の自然にふれる旅を、木曽の森で。