「木曽11宿」と呼ばれる中山道の木曽路エリアにある宿場のうち、もっとも南に位置し、唯一岐阜県に属する宿場が馬籠宿(まごめじゅく)です。この宿場の特徴は、坂道の両側に江戸時代の趣を感じる宿や飲食店が軒を連ねること、そしてなにより「木曽路はすべて山の中である」という書き出しで有名な小説『夜明け前』の作家、島崎藤村の出身地であることでしょう。
また近年では、馬籠宿と妻籠宿をつなぐ全長約8㎞のハイキングコース、通称「サムライロード」「サムライトレイル」が海外観光客に大人気で、宿場内でもバックパックを背負った外国人を多く見かけることができます。
この記事ではそんな馬籠宿のなかでおすすめの立ち寄りスポットを、4箇所に厳選して紹介します。
かなめや/歩く前に焼き立て五平餅を食べてエネルギーをチャージしよう
木曽谷をはじめ、中部地方の山間地域を発祥とするご当地グルメとして人気の高い五平餅。馬籠宿には現在、9軒の五平餅店があります。女店主・牧野敬子さんが営む「かなめや」は、46年の歴史をもつ五平餅店で、自家製のタレ、自家製のうるち米で作った焼き立て五平餅をいただけます。「温かいうちに食べてほしい」という牧野さんのこだわりにより、お土産としての販売はなし。店内で、または歩きながら、熱々のうちに食べきりましょう。
藤村記念館/日本遺産への追加認定で益々注目度が高まる藤村生誕の地
自然主義文学の代表的作家として知られる島崎藤村は、馬籠宿本陣の四男として生まれ、部落差別を題材とした長編小説『破戒』、明治維新前後の動乱における実父の生涯をモデルとした歴史小説『夜明け前』など数々の代表作を世に送り出しました。
藤村の死後、本陣跡地に建てられたのが「藤村記念館」で、藤村の作品原稿や遺愛品など約6,000点のコレクションが所蔵されています。2020年には構成文化財として日本遺産への追加認定が決定。よりいっそう、馬籠宿観光に欠かせないスポットとして注目が集まっています。
三日月庵/当日仕込みの本格手打ち蕎麦をカフェ感覚で利用できる
2022年4月にオープンした蕎麦専門店「三花月庵(みかづきあん)」は、スタイリッシュで清潔な店内で本格的な手打ち蕎麦を味わえるお店です。蕎麦粉はすべて国産のものを使用。メニューも豊富に展開されていて、冷たい蕎麦には「細挽きせいろ」や「粗挽きせいろ」、「旬の野菜天せいろ」などが、温かい蕎麦には「かけ蕎麦」のほか、「おぼろ昆布蕎麦」、「和牛カレー蕎麦(冬季限定)」などがあります。蕎麦は午前中に打ち、打った分が売り切れたら終了になるので、早めの入店がおすすめです。
HillBilly Coffee Company/水車の隣に佇む自家焙煎のスペシャルティーコーヒー店
馬籠宿には小水力発電所として機能している大きな水車があるのですが、この水車の隣に建つのが自家焙煎の珈琲を提供するカフェ「HillBilly Coffee Company(ヒルビリー コーヒー カンパニー)」です。看板メニューは「馬籠宿の急な坂道を元気に登れるように」というイメージで作られた、フルーティーな香りとほどよい酸味をもつ「馬籠ブレンド」と、古い建物が建ち並ぶ妻籠宿の深みを味わいで表現した「妻籠ブレンド」。どちらもドリップコーヒーとして、または珈琲豆として購入できます。バリスタが一杯ずつラテアートを施してくれるカフェラテもおすすめです。
長野県のニッチな観光メディア『Skima(スキマ)信州』コラボ記事
企画・編集:Skima信州(山本麻綾)
執筆:松元麻希
撮影:佐々木健太